本当の君を好きになる
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結構な時間、話をした。
机の上に広げられたお菓子は無くなってるし、時計を見るともう夜中になっていた。
「……なるほど……樋野くんは、妹ちゃんじゃなくて、凪沙の事が好きだったんだね。」
「うん。綾人くんも、菜月の気持ちは薄々気づいてたらしい。だけど、それ以上に私の好意にも、気づいてたらしいの。」
「……それで?凪沙はどう返事をしたの?」
「私、その時何も言えなくてね。綾人くんは、返事はいらないから。って帰っていった。」
「ふーん……なるほどね。」
「でもね、実はその場面を菜月に見られてたの。」
「……えっ……!?」
「菜月はその事で、すごく塞ぎ込んじゃって。私も、菜月のことを裏切ってしまった気持ちが大きかったから、何も言えなくてね……。この日から、全く話をする事も無くなった。それで、今まで頑張って勉強してきたのに、受験にも失敗して……ずっと家に引きこもってるの……。私のせいで……菜月の人生……めちゃくちゃにしちゃった……。」
凪沙はそう言いながら、目に涙を浮かべていた。
私は、そんな彼女にハンカチを差し出す事ぐらいしか出来なかった。
凪沙の抱えているものは、思っていたよりも大きいのかもしれない。
私は、どう支えてあげるべきなのだろうか……?
自分に問いかけても、簡単に答えは出てこなかった。