本当の君を好きになる







***






結構な時間、話をした。

机の上に広げられたお菓子は無くなってるし、時計を見るともう夜中になっていた。





「……なるほど……樋野くんは、妹ちゃんじゃなくて、凪沙の事が好きだったんだね。」



「うん。綾人くんも、菜月の気持ちは薄々気づいてたらしい。だけど、それ以上に私の好意にも、気づいてたらしいの。」



「……それで?凪沙はどう返事をしたの?」



「私、その時何も言えなくてね。綾人くんは、返事はいらないから。って帰っていった。」



「ふーん……なるほどね。」








「でもね、実はその場面を菜月に見られてたの。」







「……えっ……!?」






「菜月はその事で、すごく塞ぎ込んじゃって。私も、菜月のことを裏切ってしまった気持ちが大きかったから、何も言えなくてね……。この日から、全く話をする事も無くなった。それで、今まで頑張って勉強してきたのに、受験にも失敗して……ずっと家に引きこもってるの……。私のせいで……菜月の人生……めちゃくちゃにしちゃった……。」







凪沙はそう言いながら、目に涙を浮かべていた。

私は、そんな彼女にハンカチを差し出す事ぐらいしか出来なかった。

凪沙の抱えているものは、思っていたよりも大きいのかもしれない。




私は、どう支えてあげるべきなのだろうか……?



自分に問いかけても、簡単に答えは出てこなかった。





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