本当の君を好きになる





最初は本当にびっくりした。



3年生になって、クラス替えがあったあの時。

桐谷くんが同じクラスにいることよりも、綾人くんが同じクラスにいることの方が驚きだった。




そして、席替えをした時に彼と可鈴は隣の席になった。

もし、この二人が仲良くなったら……?

私は、前のように彼と話が出来る自信なんて無かった。






だって、私は、あの時彼を拒絶したから。



全てを彼のせいにして、罪を擦り付けた。


彼は、全ての罪を自分で背負い込んで、毎日毎日、私たちの元へと通い続けた。




どれだけ拒絶されても、




「二人の未来をぐちゃぐちゃにしてしまってごめんなさい。」





と両親に謝り続けていたのを、私も妹も知っている。




もう謝罪の言葉なんて聞きたくない。

綾人くんは、一つも悪くない。

悪いのは、私だ。



彼に全てを擦り付けて、拒絶して……謝らなければいけないのは、私たちの方だ。








彼には、もう楽になってほしい。



昔の事なんて忘れてほしい。



自分の人生を歩んでほしい。



そう思っていたのに、彼は私の前に現れた。




あの日のお昼のこと──。





< 235 / 308 >

この作品をシェア

pagetop