本当の君を好きになる
最初は本当にびっくりした。
3年生になって、クラス替えがあったあの時。
桐谷くんが同じクラスにいることよりも、綾人くんが同じクラスにいることの方が驚きだった。
そして、席替えをした時に彼と可鈴は隣の席になった。
もし、この二人が仲良くなったら……?
私は、前のように彼と話が出来る自信なんて無かった。
だって、私は、あの時彼を拒絶したから。
全てを彼のせいにして、罪を擦り付けた。
彼は、全ての罪を自分で背負い込んで、毎日毎日、私たちの元へと通い続けた。
どれだけ拒絶されても、
「二人の未来をぐちゃぐちゃにしてしまってごめんなさい。」
と両親に謝り続けていたのを、私も妹も知っている。
もう謝罪の言葉なんて聞きたくない。
綾人くんは、一つも悪くない。
悪いのは、私だ。
彼に全てを擦り付けて、拒絶して……謝らなければいけないのは、私たちの方だ。
彼には、もう楽になってほしい。
昔の事なんて忘れてほしい。
自分の人生を歩んでほしい。
そう思っていたのに、彼は私の前に現れた。
あの日のお昼のこと──。