本当の君を好きになる
動き出した時間
凪沙とお泊まり会をした次の日。
私は、凪沙の家にお邪魔することになった。
そういえば、凪沙の家に行くのって初めてかもしれない。
「──あなたが瀬戸さん?」
玄関で凪沙のお母さんに迎えられる。
「はい。いつも凪沙さんにはお世話になってます。」
そう言ってニコッと微笑むと、凪沙のお母さんも優しく微笑んでくれた。
「いえいえ。こちらこそ、凪沙がいつもお世話になってます。仲良くしてくれてありがとうね。」
軽く挨拶を済ましてから、二階へと向かう。
すると、部屋から女の子が出てきた。
凪沙は、その子を見た瞬間、気まずそうな顔をする。
あー……この子が妹の菜月ちゃんか。
菜月ちゃんも、明らかに戸惑っている様子だ。
「こんにちは。お姉ちゃんの友達の、瀬戸可鈴と言います。突然お邪魔してごめんなさいね。」
「……あ、い、いえ。どうぞ、ごゆっくり……。」
そう言うと、逃げるようにして私の横を通り抜け、一階へと降りていった。
私はその様子を見ながら、少し考え込んでいた。
「ごめんね。私がいるから、あんなに愛想悪いんだよ……。」
「え?そんなことないと思うけどね?」
申し訳なさそうに凪沙がそう言うが、私はそうでもないよといった風に返事をする。
今日の目的の一つは、凪沙の妹と話をすることだ。
もっと、厳しい目付きで見られると思っていたけど、案外話は出来そうだな……。
ちょっと頑張ってみようか。