本当の君を好きになる
「もう十分、後悔も反省もしてるでしょ?私は、過去を見てきた訳じゃないけど、二人の様子を見てると、そう感じるよ?もう、楽になろうよ。楽にしてあげてよ。こんなの誰も報われないよ……。」
すると、カチャリ……と小さな音を立てて、部屋の扉が開いた。
そこには、目を真っ赤にした凪沙が立っていた。
その姿を見た、菜月ちゃんはボロボロと涙を溢す。
「……私、お姉ちゃんなのにっ……気づいてあげられなくてっ、ごめんねっ……?菜月は、何も悪くないからっ……お姉ちゃんが悪いからっ……。」
「……な、に…言ってんのっ……。お姉ちゃんは、何もしてないじゃんっ……!突き放したのは私だよっ……?」
「突き放されるような事をしたのは……私だか──」
「──違うよっ!!」
その声で、一度その場はしーんと静まり返る。
すると、菜月ちゃんが呟いた。
「ごめんね……。」
その言葉に、凪沙は首を横に振る。
「ううん。私こそごめんね……?傷つけて、苦しめてごめんねっ……?菜月っ……ごめんねっ……。」
その言葉に、菜月ちゃんは何度も頷いた。
そして、二人揃ってその場に泣き崩れた。
二人の泣く声が聞こえたのか、お母さんも階段を駆け上がってくる。
私が、「大丈夫ですよ。」と伝えると、お母さんは、優しい笑顔を浮かべた。
菜月ちゃんも、凪沙も、この素敵な笑顔はお母さん似なんだね。
そう思いながら、私は凪沙の背を、お母さんは菜月ちゃんの背を優しく撫で続けた。