本当の君を好きになる




「もう十分、後悔も反省もしてるでしょ?私は、過去を見てきた訳じゃないけど、二人の様子を見てると、そう感じるよ?もう、楽になろうよ。楽にしてあげてよ。こんなの誰も報われないよ……。」




すると、カチャリ……と小さな音を立てて、部屋の扉が開いた。

そこには、目を真っ赤にした凪沙が立っていた。


その姿を見た、菜月ちゃんはボロボロと涙を溢す。





「……私、お姉ちゃんなのにっ……気づいてあげられなくてっ、ごめんねっ……?菜月は、何も悪くないからっ……お姉ちゃんが悪いからっ……。」



「……な、に…言ってんのっ……。お姉ちゃんは、何もしてないじゃんっ……!突き放したのは私だよっ……?」



「突き放されるような事をしたのは……私だか──」





「──違うよっ!!」






その声で、一度その場はしーんと静まり返る。




すると、菜月ちゃんが呟いた。







「ごめんね……。」







その言葉に、凪沙は首を横に振る。





「ううん。私こそごめんね……?傷つけて、苦しめてごめんねっ……?菜月っ……ごめんねっ……。」





その言葉に、菜月ちゃんは何度も頷いた。

そして、二人揃ってその場に泣き崩れた。



二人の泣く声が聞こえたのか、お母さんも階段を駆け上がってくる。



私が、「大丈夫ですよ。」と伝えると、お母さんは、優しい笑顔を浮かべた。


菜月ちゃんも、凪沙も、この素敵な笑顔はお母さん似なんだね。





そう思いながら、私は凪沙の背を、お母さんは菜月ちゃんの背を優しく撫で続けた。



< 241 / 308 >

この作品をシェア

pagetop