本当の君を好きになる



***




「……き、緊張してきた……。」



「し、しっかりしてよ。お姉ちゃんっ……!!」



「大丈夫だよ、私もいるし。」



緊張する井上姉妹と、余裕な私、瀬戸可鈴。





凪沙の苦しみを知った金曜日、菜月ちゃんと仲直りを果たした土曜日を過ごし、今日は日曜日。



緊張する二人と共にどこに向かっているかというと……






「てか、綾人くん家にいるのかな?」



「いる筈だよ?連絡したら、今日は1日家にいるって言ってたから。」



「……ですよね。」





二人の仲直りも果たしたということで、今度は樋野くんとも仲直りというか、謝罪をしようということになったのだ。

妹の菜月ちゃんの案だが、とても素敵な事だと思うよ。



二人だけでは不安だし、住んでる場所も連絡先も分からないということで、私もついていくことになった。





「あ、ここだ。」






私がそう言うと、二人に更に緊張が走るのが分かった。

でも、会わなきゃ話は始まらないし……と思い、遠慮なしにインターホンを押す。





少し経ってから、玄関の扉がガチャリと開く。

すると、樋野くん本人が出てきた。




凪沙は、まさかの本人登場に固まり、樋野くんも驚きで目を見開く。




しかし、菜月ちゃんは……







「急に訪ねて来てごめんなさい。でもね、本当に遅くなっちゃったけど、話したいことがあるの。」







と、淡々と話を進める。

樋野くんは、状況が理解できていないようで、何も返事をしなかった。





「……樋野くん?大丈夫……?」





私が尋ねると、樋野くんはハッとして意識を取り戻す。





「あ、ごめん。何か色々訳分かんなくて……とりあえず、立ち話じゃなんだし、上がって?」





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