本当の君を好きになる
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リビングに通され、私たちは落ち着かないままテーブルにつく。
凪沙と菜月ちゃんが隣同士で座り、その向かいに、私と樋野くんが座った。
みんな、緊張した顔で、ガチガチになっている。
「……それで……話したいことって……?」
樋野くんが尋ねると、菜月ちゃんは答える。
「……たくさん迷惑かけてしまって、本当にごめんなさい。」
そう言って深々と、頭を下げる。
すると、続いて凪沙も
「……私も、綾人くんの事たくさん傷つけた……。全部背負わせてしまって、本当にごめんなさい。」
二人の言葉に、樋野くんは何度も何度も頷いた。
そして、いつもの笑顔でニコッと笑う。
「顔あげて、二人とも。」
二人はゆっくりと顔を上げる。
「僕は、二人に謝って欲しいなんて思ってなかった。僕の方が、ずっと謝りたかった。本当に、ごめんなさい。……この言葉が、いつか二人に届くんじゃないかと思ってたけど……今、やっと届いたね。
でも、何か今の二人の様子見たら嬉しくてさ……何か、あの時に戻ったみたいだね。」
その言葉に、二人は照れ臭そうに笑う。
それにつられて、樋野くんも優しい笑顔を浮かべる。
「じゃあ、もう謝るのは終わりにしよう?僕たちも、それぞれ前に進むんだ。いい?」
「うん。」
「大丈夫だよ。綾人くん。私、前に進んでるから。」
「「え?」」
その発言に、凪沙も樋野くんも首を傾げる。