本当の君を好きになる






***






リビングに通され、私たちは落ち着かないままテーブルにつく。

凪沙と菜月ちゃんが隣同士で座り、その向かいに、私と樋野くんが座った。

みんな、緊張した顔で、ガチガチになっている。






「……それで……話したいことって……?」





樋野くんが尋ねると、菜月ちゃんは答える。




「……たくさん迷惑かけてしまって、本当にごめんなさい。」





そう言って深々と、頭を下げる。


すると、続いて凪沙も





「……私も、綾人くんの事たくさん傷つけた……。全部背負わせてしまって、本当にごめんなさい。」






二人の言葉に、樋野くんは何度も何度も頷いた。

そして、いつもの笑顔でニコッと笑う。





「顔あげて、二人とも。」





二人はゆっくりと顔を上げる。





「僕は、二人に謝って欲しいなんて思ってなかった。僕の方が、ずっと謝りたかった。本当に、ごめんなさい。……この言葉が、いつか二人に届くんじゃないかと思ってたけど……今、やっと届いたね。

でも、何か今の二人の様子見たら嬉しくてさ……何か、あの時に戻ったみたいだね。」





その言葉に、二人は照れ臭そうに笑う。

それにつられて、樋野くんも優しい笑顔を浮かべる。






「じゃあ、もう謝るのは終わりにしよう?僕たちも、それぞれ前に進むんだ。いい?」



「うん。」



「大丈夫だよ。綾人くん。私、前に進んでるから。」



「「え?」」



その発言に、凪沙も樋野くんも首を傾げる。




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