本当の君を好きになる
束の間の平和
あれから私たちは、本当に楽しく順調な日々を送っていた。
凪沙と樋野くんが仲直りしたことで、5人で過ごせるようにもなった。
そして、あっという間に時は流れ、夏休みに突入していた。
夏休みといっても、受験生である私たちは毎日学校に通って模試を受けたり、補習をしたりの日々なんだけどね。
それでも、仲間がいるというのは本当にありがたいことで、その勉強も苦にはならなかった。
そんなある日の帰り道のこと。
いつものように、5人で途中まで帰り、別れたところで私は話し始める。
「そういえば、来週って花火大会あるよね?」
私の言葉に、直登はピクッと反応を示した。
「……あー……そういえばそうだったな。」
さほど興味無さそうに、そっぽを向いて答える直登。私はそんな彼に構わず続ける。
「直登ももちろん行くでしょ?」
「……まあ、勉強の息抜きにもなるし、お前がどうしても行きたいって言うんなら行っても──」
「そうだよね!?良かったー!!じゃあ皆も誘っとくから!!」
「……え?」
私はウキウキしながらスマホを取り出すと、まずは凪沙の連絡先を探す。
そして、トーク画面を開いたところで、直登にスマホを奪われた。
「ちょっ……何してんのっ!?」