本当の君を好きになる
束の間の平和





あれから私たちは、本当に楽しく順調な日々を送っていた。

凪沙と樋野くんが仲直りしたことで、5人で過ごせるようにもなった。




そして、あっという間に時は流れ、夏休みに突入していた。




夏休みといっても、受験生である私たちは毎日学校に通って模試を受けたり、補習をしたりの日々なんだけどね。

それでも、仲間がいるというのは本当にありがたいことで、その勉強も苦にはならなかった。




そんなある日の帰り道のこと。




いつものように、5人で途中まで帰り、別れたところで私は話し始める。






「そういえば、来週って花火大会あるよね?」





私の言葉に、直登はピクッと反応を示した。




「……あー……そういえばそうだったな。」




さほど興味無さそうに、そっぽを向いて答える直登。私はそんな彼に構わず続ける。



「直登ももちろん行くでしょ?」



「……まあ、勉強の息抜きにもなるし、お前がどうしても行きたいって言うんなら行っても──」



「そうだよね!?良かったー!!じゃあ皆も誘っとくから!!」



「……え?」



私はウキウキしながらスマホを取り出すと、まずは凪沙の連絡先を探す。

そして、トーク画面を開いたところで、直登にスマホを奪われた。





「ちょっ……何してんのっ!?」



< 248 / 308 >

この作品をシェア

pagetop