本当の君を好きになる
「ちょっ……何してんのっ!?」
私は、そう言ってスマホを奪い返そうとする。
しかし、直登はスマホを右手から左手に持ち変え、私から遠ざける。
返してくれる気は無さそうだ。
「可鈴はさ……俺の事何だと思ってんの?」
そう言って私の事を睨み付ける。
え……ちょっ……何?
「何って……直登は直登でしょ……?」
「ちげーよ。お前にとっての俺って何だよ。」
「……え?」
混乱する頭を整理しながら、私は彼の言葉を頭の中で繰り返す。
私にとっての直登……?
「……直登は……私の……好きな人……?」
「……好きっ……!?っていうか、彼氏だろ!!!!」
好きという言葉に直登は顔を真っ赤にしながら、答える。
ああ!そう言えば良かったのか!!
「あのな!こういうイベントは、付き合ってたら二人で行くもんなんだよ!!だから、皆は誘うな!!」
そこまで言うと、直登はスマホを返してくれた。
私は呆気にとられたまま少しの間固まっていた。
「……ごめん……なさい。」
「お前……本当に天然というか、抜けてるというか……まあ、良いよ。帰るぞ。」
人生初の彼氏と過ごす花火大会。
既に今から緊張と楽しみでいっぱいになっている。