本当の君を好きになる




***




「……遅いなー。」





直登がトイレに行くと言ってから、15分以上が過ぎた。

直登が帰ってくる気配は無い。


迷ったのかな?

でも、これで探しに行けば入れ違いになりそうだし……。

隣の屋台から香るソースの香りに少しずつうんざりし始めた。




それにしても、すごい人だなぁ。

まわりを見てると、家族連れはもちろん、カップルや友達同士で来ている人もいる。





「……あれ?」





そんな人たちを見ていて、私は見覚えのある顔に気がついた。

あれは、どこからどう見ても湊くんだよね?

よくよく見ると、近くには弟の春哉くんもいる。






「あ、春哉く──」





声をかけようとして、私は固まった。


湊くんに笑顔で話しかける女性の姿。


20代前半に見える女性は、とても綺麗だった。




しかし、湊くんはというとダルそうに女性の言葉に返事をしているようだった。

どういう関係なんだ……?

まさか、彼女とか……?

でも、それなら春哉くんと一緒に出掛けるかな?

それとも、もうそういう仲とか?




てか、凪沙と待ち合わせしてるんじゃないの……!?

てっきり、あの人っていうから湊くんの事かと思ってたけど、違ったの……?




そんな事を考えている内に、3人は人混みの中に消えてしまった。



一体何だったんだろう?湊くんのあの態度も気になる……。


また学校で聞いてみよう。




< 251 / 308 >

この作品をシェア

pagetop