本当の君を好きになる
「……話すことなんてないから。」
「でも、あの時の湊くん──」
「──うるさいんだよっ!!!!」
自然とそう叫んでいた。
俺は、そう叫んだ直後ハッとする。
彼女は、悲しげな表情を浮かべていた。
「……ごめん……なさい。」
彼女は振り払われた手をさすりながら、謝ってくる。
謝罪の言葉なんて……欲しくない……。
「私じゃダメなら、直登だっているから……。凪沙も、樋野くんもいる……。湊くんは、一人じゃ──」
「──ごめん。」
瀬戸さんは、俺の声に顔を上げる。
しかし、そんな彼女を俺はどん底まで突き落とした。
「──全然響いてこないわ……。もう、これ以上首を突っ込まないでくれ。」