本当の君を好きになる
***
ピンポーン……ピンポーン──。
呼び鈴を押す指は、変な緊張で少し震えていた。
湊くんに突き放された矢先に、私が家を訪ねても良かったのだろうか?
でも、何かすごく嫌な予感がするし……やらずに後悔より、やってから後悔ってよく言うし、頑張れ私っ……!!
そう自分に気合いを入れた直後、ガチャリ……と重たそうな扉が開いた。
顔を覗かせた人物に私は固まる。
「……どちら様でしょうか?」
「あ、僕たち桐谷湊くんと仲良くさせてもらっている、幸坂直登と、瀬戸可鈴と言います。」
その言葉に、その女性はパッと表情が明るくなる。
……この女の人……花火大会の時に、湊くんと一緒にいた人だ。
「湊くんの……!どうぞどうぞ上がってください!」
女性は慣れた手つきでスリッパを取り出すと、私たちを招き入れてくれた。
……湊くんとこの人は一緒に暮らしているってことなのかな?
勝手にスリッパを出すくらいだから、そうなのだろう。