本当の君を好きになる
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「……え?」
次の日。いつも通り、直登と登校してきた私は、教室に広がる光景を見て固まった。続いて入ってきた直登も、目を見開く。
そこには、湊くんの姿があった。席のまわりには女子生徒が集まっていて、休んでいた理由を聞かれているようだ。
そして、その女子生徒の塊の中から席に座っている凪沙の姿も見えた。
私は、鞄を自分の席に放り投げると、凪沙の元へと向かう。ガシッと腕を掴むと、私の顔を見て固まった。
「……お、おはよう、可鈴。」
「……ちょっと来て。」
凪沙の腕を引き、席を立たせた時、女子の塊の中の湊くんと目が合った。彼はニコッと余裕げな笑みを浮かべる。
その笑顔に私の背筋は凍る。
何っ……?何なのっ……?
笑ってはいたけど、感じる狂気。私は、ぐいっと凪沙の腕を引っ張り教室を出ていった。