本当の君を好きになる





***





「え?待って……ごめん。理解できない。」




時を同じくして、空き教室に移動した私と凪沙。

凪沙の話を聞いていたのだが、まさかの言葉に私は困惑していた。




「……どういうこと?」




凪沙は、俯いたまま再び話し始める。





「……だから……一昨日の夜、桐谷くんに電話したら会いたいって言われたの……。そんなこと言われたの初めてだったから、私嬉しくて……。それで、家に桐谷くんが来て、少し話して……。」




手悪さをしながら、話を続ける凪沙。

だんだんと声が小さくなっていく。




「……それで……しちゃった。」




キーンコーンカーンコーン──。


タイミングが良いのか悪いのかチャイムの音が鳴り響く。





「ま、また、ゆっくり話すからっ……とりあえず、教室戻ろう?」


「……先に戻ってて。」


「わ、分かった。」





凪沙がそそくさと教室を出ていくと、私はその場に座り込む。

何これ。

よく分かんないけど、涙が出てきた。

意味分かんない。

でも、止まらない。





どんどん壊れていってる気がする。

やっぱり、私が余計なことしなければ良かったのだろうか?

無駄な正義心で、皆の仲を崩してしまったのではないか?





凪沙はそんなことしないと思ってた。

湊くんだって、手を出すような事をする人じゃない筈だ。





じゃあ、二人を変えてしまったのは何?



誰なの?





そんなの……


< 266 / 308 >

この作品をシェア

pagetop