本当の君を好きになる
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「え?待って……ごめん。理解できない。」
時を同じくして、空き教室に移動した私と凪沙。
凪沙の話を聞いていたのだが、まさかの言葉に私は困惑していた。
「……どういうこと?」
凪沙は、俯いたまま再び話し始める。
「……だから……一昨日の夜、桐谷くんに電話したら会いたいって言われたの……。そんなこと言われたの初めてだったから、私嬉しくて……。それで、家に桐谷くんが来て、少し話して……。」
手悪さをしながら、話を続ける凪沙。
だんだんと声が小さくなっていく。
「……それで……しちゃった。」
キーンコーンカーンコーン──。
タイミングが良いのか悪いのかチャイムの音が鳴り響く。
「ま、また、ゆっくり話すからっ……とりあえず、教室戻ろう?」
「……先に戻ってて。」
「わ、分かった。」
凪沙がそそくさと教室を出ていくと、私はその場に座り込む。
何これ。
よく分かんないけど、涙が出てきた。
意味分かんない。
でも、止まらない。
どんどん壊れていってる気がする。
やっぱり、私が余計なことしなければ良かったのだろうか?
無駄な正義心で、皆の仲を崩してしまったのではないか?
凪沙はそんなことしないと思ってた。
湊くんだって、手を出すような事をする人じゃない筈だ。
じゃあ、二人を変えてしまったのは何?
誰なの?
そんなの……