本当の君を好きになる
「──ふーん?じゃあ好きだったら良いんだな?」
その言葉に、私の背筋はゾクッと冷えた。
変化した口調。
声色。
そして、冷たい目。
湊くんは、私の腕をガシッと掴むと、壁にドンッと押さえつけてきた。
あまりの恐怖と、衝撃に私は声を出すことも出来ない。
「だったらさー……瀬戸さんが俺のこと満たしてよ。」
「──っ!?」
冷たい目。
それでも、口元は笑っている。
止まった筈の涙が、再び溢れてきた。
「……好きだったら良いんでしょ?……俺、何回も伝えてるよね瀬戸さんの事が好きだって……。」
「そ、それはっ……!」
「聞いてないなんて言わせないから。……ねぇ、瀬戸さん。良いでしょ?」
「……良く……ないっ……!!」
必死で抵抗するが、男性の力にかなうはずもなく、私は涙を流しながら、下唇を噛むしかなかった。
「……だから言ったんだよ。」