本当の君を好きになる
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コンコン。
ノックの音が部屋に響いた時、私も直登も我に返った。
すると、ニッコリとした笑みを浮かべた母親が入ってきた。
「あら、静かねー。直くん、これ大した物じゃ無いけど食べていって!私が一生懸命作ったのー!あ、大した物じゃ無いんだけどね!!良かったら、感想よろしくね♪」
母は、そう言って笑顔を振り撒き、何度もわざとらしくウインクをしてから、ケーキと紅茶を置いて出て行った。
私と直登は、一斉に「ブフッ!!」と噴き出す。
「いやいやいやいや!!お母さん、自信に充ち溢れ過ぎててヤバイわ!!」
「相変わらずおばさん面白いな!」
「感想なんて言わなくて良いから!何なら、食べずに帰っても良いからね!?」
「いやいや、しっかり感想言って帰るわ。」
先程までの気まずい空気は消え、今は二人から笑顔が溢れている。
とりあえずは、母に感謝かな……。