本当の君を好きになる




***



「……直登?」




可鈴の困惑した表情。

でも、今の俺にはその表情にイライラしてしまうほど、全く余裕がない。




可鈴を抱き締めた瞬間に感じた違和感。




可鈴の体からは、香水の香りがした。

普段、可鈴は香水なんてつけない。

しかも、その香りに覚えがあった。






……桐谷がいつもつけている香水だ。






「……遅れるから、早く教室戻ろう。瀬戸さん。」



「え?あ、うん……。」





可鈴の顔が見れない。

変な汗が流れて、色んな考えが頭を巡る。





可鈴は俺の言葉に対して、謝罪をした。

でも否定は全くしなかった。





桐谷の精神状態もおかしかったし、1時間目は、丸々いなかった。

何もなかったと言い切れるか?




でも、可鈴に限って、桐谷に限って、そんなことは……。

そう思いながらも疑ってしまう自分がいる。





はぁ……。ダメだ。モヤモヤする……。





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