本当の君を好きになる
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「──あー、……ねみぃ。」
「だねー……。」
少し肌寒い、通学路。
朝に弱い私たちは、ボーッとしながら学校へ向かう。
昨日の事があってから、私は落ち着いて眠ることが出来なかった。
今日、桐谷くんに会ったら何て言おう?
『やっぱり付き合うのは無しにしよう。』
その言葉が私に言えるだろうか……。
はぁ……朝から憂鬱だな……。
「──おはよう!幸坂くん、瀬戸さん!」
「「あ、おはよう!!」」
二人して大きな声で挨拶をする。
そして、挨拶をしてきた人の顔を見て私たちは固まった。
「毎日一緒に登下校してるって本当だったんだね。正直妬けるなぁ。」
眼鏡の位置を直しながら、そう話すのは、今私が一番会いたくなかった桐谷湊くん。
私は、苦笑いしか出来なかった。
「でも、今瀬戸さんと付き合ってるのは俺だし、一緒に登校する権利ぐらいあるよね?」
そう言ってニコッと笑うと、私の手を握る。
私も、直登も驚きで固まる。
直登の眉間にしわが寄るのが分かった。
「……幸坂くん。酷い顔になってるよ?まるで君の本性が表れてるかのようにね。」
「「──!?」」