本当の君を好きになる



***



「──あー、……ねみぃ。」


「だねー……。」


少し肌寒い、通学路。

朝に弱い私たちは、ボーッとしながら学校へ向かう。

昨日の事があってから、私は落ち着いて眠ることが出来なかった。

今日、桐谷くんに会ったら何て言おう?

『やっぱり付き合うのは無しにしよう。』

その言葉が私に言えるだろうか……。

はぁ……朝から憂鬱だな……。





「──おはよう!幸坂くん、瀬戸さん!」




「「あ、おはよう!!」」




二人して大きな声で挨拶をする。

そして、挨拶をしてきた人の顔を見て私たちは固まった。




「毎日一緒に登下校してるって本当だったんだね。正直妬けるなぁ。」




眼鏡の位置を直しながら、そう話すのは、今私が一番会いたくなかった桐谷湊くん。


私は、苦笑いしか出来なかった。



「でも、今瀬戸さんと付き合ってるのは俺だし、一緒に登校する権利ぐらいあるよね?」



そう言ってニコッと笑うと、私の手を握る。

私も、直登も驚きで固まる。

直登の眉間にしわが寄るのが分かった。




「……幸坂くん。酷い顔になってるよ?まるで君の本性が表れてるかのようにね。」




「「──!?」」





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