本当の君を好きになる





「楓奈さんから色んな話を聞いてる内に、私の息子も捨てたもんじゃないわねって思ってね。それと同時に、本当に不器用な人だと思ったわ。」






……だからだったのか。


あの人が俺に激怒したのは。






父さんの努力や、俺たちに対する想いを一番近くで見ていたのはあの人だったから。


だからこそ、俺が『ろくに子育てしてないくせに』なんて言ったから、酷く取り乱したんだ。




少しずつ話が繋がってくる。




瀬戸さんの言うように、話をするって本当に大切な事なんだな……。






「……せっかくお父さんも帰ってきてる事だし、ゆっくり話をしてみたら良いんじゃないかしら?その通帳のお礼もしないといけないからね。」




「……そうだね。」






と、ちょうどその時玄関から「ただいまー!!」と元気な声が聞こえてきた。



そして、仲良さそうに手を繋いでリビングに入ってくる春哉とあの人。




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