本当の君を好きになる
家族の思い
「──父さん。」
そう呼ぶのに、どれだけ練習をしたか。
父に自分から話しかけるなんて、本当に何年ぶりだろう。
昨日叱られたこともあるし、話しかけるのには本当に勇気が必要だった。
必死で呼んだその声に、父は読んでいた新聞から顔を上げた。
「……何だ?」
眼鏡の奥をキラリと光らせて、冷静に訪ねてくる父。
少し決意が揺らぎそうになる中、俺も心を落ち着かせて答える。
「……話したいことがあるんだ。」
父は一瞬目を見開いたが、すぐに新聞を閉じると、咳払いをする。
「……座りなさい。」
「……うん。」
昨日話をしたテーブルに同じように座る。
「……で?話は何だ?」
「……世間話でも……どうかな?と……思って……。」
「……は?」
少し間抜けな父のその声。
俺も、緊張から話し方が途切れ途切れになってしまう。