本当の君を好きになる
「……はぁ、緊張したわ……。」
緊張感から解き放たれて、俺はうーんと伸びをする。
椅子にもたれて、天井をボーッと見ていた時、目の前に顔が現れる。
「──!?」
俺が驚いた表情をすると、覗き込んだその人もビクッと震える。
態勢を元に戻し、そこに立つ人物……楓奈さんを見る。
照れ臭そうに笑顔を浮かべていた。
「……どう……したんですか?」
「……いや、嬉しくてね……。孝明さんと湊くんが、ニコニコしながら会話してるんだもん。」
「……見てたんだ……。」
「別に覗いてた訳じゃないんだよ!?……でも、あまりに二人が幸せそうだったから、つい立ち止まっちゃって。」
そう言う彼女があまりに嬉しそうなので、俺も呆れるように笑う。
「……でも、あなたのお陰なんですよ。」