本当の君を好きになる
「……でも、あなたのお陰なんですよ。」
「……へ?」
楓奈さんは、どういうこと?とでも言いたそうな困惑した表情で、俺の言葉の続きを待っている。
「あなたが昨日叱ってくれたから……。それに、春哉やおばあちゃん、僕と向き合おうとしてくれたから。」
「……湊くん。」
彼女は、俺の言葉に何度も何度も頷いていた。
「……孝明さんはね、本当に家族思いで素敵な人よ。お義母さんから送られた写真や手紙は、全部大事に保存したり、部屋の中に飾っていたり……。でも、不器用だからそれを表現はできないの。」
本当に愛しい人の話をしているんだなと、表情から読み取れる。
彼女の顔からは、優しさと嬉しさが滲み出ていた。
「孝明さんが、あなたたちの事を考えなかった日はないと思うよ。それぐらい、春哉くんの事も、湊くんの事も本当に大切に思っているから。」
「……そっか。」
「それに、私もあなたたちと本当の家族になりたいと思ってるよ!」