本当の君を好きになる
「それに、私もあなたたちと本当の家族になりたいと思ってるよ!」
その笑顔があまりに眩しくて、見ていられなかった。
こんなにも俺たちの事を考えてくれていたなんて思ってもみなかった。
過去の出来事から、勝手に偏見を抱いて……俺はなんて馬鹿な事をしていたんだろう。
俺は、一度も向き合おうとしなかった。
いや、向き合いたくなんてなかった。
「……複雑だと思うよ?私と湊くんは年齢もそんなに離れてないし。簡単に『お母さん』なんて呼べないと思う。
……でもね、少しずつでいいから認めてほしい。私を……私とお腹の中のこの子を……家族の一員にしてほしい。その気持ちはね、ずっと変わらないよ。」
そこまで楓奈さんが話した時、父がリビングに戻ってきた。俺と彼女が話をしている場面を見て、父は少し気まずそうな表情をした。
「……邪魔だったか?」
「ううん。あなたの話をしていたのよ。」
「……そ、そうか。」