本当の君を好きになる
先程から、桐谷くんには驚かされてばかりだ。
桐谷くんは、自信ありげに直登の方を見る。
繋いだ手は、ギュッと握られている。
すると、直登の目が厳しいものに変わった。
普段、学校では絶対にしない目つきだ。
「本性だったら何だよ?どうせ、てめぇも何か隠してんだろ?」
「ハハハッ!!女子にキャーキャー騒がれてる君が、こんな人だなんて知ったら皆どうなるんだろうね?楽しみで仕方がないよ。」
胸の辺りがモヤモヤして……直登がこんなに責められているのが苦しくて、私は自然と桐谷くんの事を睨み付けていた。
「……瀬戸さん?そんな怖い目で見ないでよ。」
そう言われ、私はハッとして表情が戻る。
すると、桐谷くんに、頭をわしゃわしゃと撫でられた。
そして、彼は悲しげに呟く。
「……分かってるよ。」