本当の君を好きになる





「そして、忘れてはいけないのが家族への感謝の気持ちです。



僕たちがこのように学校に通ってこれたこと、卒業という日を迎えられること、家族の支えがあったからこそです。



僕は、少し前までその家族のありがたさを感じることが出来ていませんでした。

勝手にレッテルを貼り、決めつけをしていたからです。



ある日祖母は僕に言いました。
『あなたにとっての幸せが、私にとっての幸せでもあるのよ』と。

父も言いました。『子どもの事を考えない親なんて、子どもの事を好きじゃない親なんていない』と。

そして……母は言いました。『私はあなたたちと本当の家族になりたいの。』と。



僕は、これらの言葉を一生忘れることはないでしょう。これらの言葉は僕を変えてくれたのですから。」






そこまで言ったところで、湊くんは少し後ろを向き、ハンカチを取り出していた。

その光景を見て、さらに涙が溢れてきた。



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