本当の君を好きになる
ありがとう
***
「──ううっ……ぐすんっ……!!」
「……ちょっと……凪沙、泣きすぎだってば……。」
「ううっ……だってぇ……。」
最後のホームルームを終えた私たち。
いや、確かに担任の言葉とか、それぞれの言葉とか感動したよ?
私も泣いたよ?
でもさ……
「だって、凪沙が泣いてるのって式の時の湊くんの言葉に感動したからでしょ?いくらなんでも長すぎない?」
「感動したんだもん……!!あの桐谷くんが、家族の皆さんに感謝の気持ちを伝えたんだよぉ……!?感動するに決まってるじゃん……!!」
側にいる樋野くんも呆れ顔で、ハンカチを差し出す。
「と言っても、桐谷くん本人は今はそれどころじゃないみたいだけどね。」
樋野くんが冷静に告げる。
「あー。最後の最後に告白の嵐かぁ。モテる男は大変だねー。」
「……ううっ……本当だねっ……。」
「──井上さん。」