本当の君を好きになる





その言葉に私は固まる。……今何って言った?



好き?誰が、誰のことを?



桐谷くんが……私のことを……!?




ま、待って……頭が追い付かないんですけどっ……!?





「……嘘だ。」


「嘘じゃないよ。」


「……嘘だよ。」


「本当だよ。」




桐谷くんは、私の両肩を掴んで優しい目で見つめてきた。



「……俺、さっき言ったでしょ?先約入れてるって。告白の先約入れてるってことだよ?」



彼の言葉をゆっくりと聞き入れる。





「……井上さん、好きだよ。」




「……桐谷くん……。」




「……井上さんは?」




「……っ、私もっ……好きっ!!」






そう言って彼に思いきり抱きつく。

少しよろっとしながらも笑顔で抱き締め、頭をくしゃくしゃと撫でてくれた。



卒業式は別れでもあるけど、新たな始まりとも言える。

私たちの物語は、これから始まっていくんだね──!!


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