本当の君を好きになる
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凪沙と湊くんが教室を出ていき、私はせっせと荷物を準備していた。
どうせ、直登も女の子から告白されてるんだろう。
最後の最後に大変なんだろうなぁ。
でも、せっかく最後なんだから、私との時間作ってくれても良いのに……。
少し頬を膨らませていた時、卒業アルバムと卒業文集の間から、紙がヒラリと床に落ちた。
何だろう……?と思いながら紙を拾う。
『いつものあの場所で待ってる。 直登 』
「……え?」
私は思わず辺りを見回していた。
直登の姿は教室にはない。しかも荷物もなくなっている。
……いつの間に……?
私は、荷物を乱雑に鞄にしまいこむと、紙をギュッと握りしめて教室を飛び出した。
あの場所って言ったら……あの場所しかないよね──!?