本当の君を好きになる





***



ガラララ──。




何度も開けたこの扉。

何度も集まったこの空き教室。

少し重たいこの扉を開けるのも今日で最後なのかと思うと、寂しい気もする。




息を整えながら、教室の中に入るが直登の姿はない。

不思議に思いながら、教室を見渡して私は思わず目を見開いていた。





黒板に大きく書かれた『卒業式おめでとう』の文字。




黒板の余白部分には、いつもの4人のメッセージが書かれていた。









『卒業おめでとう!!皆と出会えたこと、絶対に忘れない。最高の思い出をありがとう! 樋野綾人』







『いつも支えてくれた皆に感謝(^-^)たくさん泣いたり笑ったり忙しい毎日だったけど、今ではそれが宝物になってるよ!卒業しても絶対に遊ぼうね! 井上凪沙』







『俺の答辞はどうでしたか?きっと皆涙が止まらなかったことだろうね(笑)でも、答辞で話したことは全部俺の本心だから。最高の毎日をありがとう! 桐谷湊』







『何書こうってすごい迷ったけど、この一言に尽きるな。ありがとう。 幸坂直登』








それぞれの感謝の想いに目を通し、私はにっこりと笑みを浮かべていた。


そして、一歩ずつ黒板に歩み寄ると、チョークをギュッと握った。




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