本当の君を好きになる
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「……ごめん。」
「ううん。良いんだけど……喧嘩でもしたの?」
「……喧嘩って訳じゃ無いんだけど……。」
私は、凪沙と向かい合って座っている。
教室の窓際の席に座り、小声で話をするなど、凪沙なりに目立たないよう配慮をしてくれた。
「……何か分かんないけど、泣いてた。」
「分かんない?」
「うん、分からないんだ。自分の気持ちが。」
「そっか……。」
凪沙は、それ以上何も話しかけて来なかった。
ただ、側にいて何も言わずに、一緒に外を眺める。
凪沙は、本当に私の事をよく分かってくれている。
彼女は、多く語る方では無いけど、状況をよく見てくれている。
今は、何もしない方が良い。そう思って、黙ってくれているのだろう。
そんな姿を見ると、また涙腺が緩んできて、私は直登から借りたタオルをギュッと握りしめ、外を眺め続けた。