本当の君を好きになる
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「──何で、俺が呼び出されないといけないの?」
空き教室にやって来た俺たち。
桐谷は、いかにもダルそうにため息をつくと、そこにある椅子にドサッと座る。
長い足をクロスさせ、偉そうに腕組みをする。
コイツもやっぱり、本性隠してるな……?
「で?学園の王子さまが、こんな俺に何の用?」
「……可鈴が泣いた。」
「……は?」
「お前が、朝どこかへ行った瞬間にな。」
「……だから何?俺のせいだって言いたいの?」
挑戦的な態度は変わらない。
俺は、なるべくイライラしないように心を落ち着かせて話を続ける。
「ちょっとは心配にならないのかよ?」
「だって、それは俺には関係ないじゃん。むしろ、お前が泣かせたんじゃないの?責任擦り付けんなよ。」
少しずつではあるが、口調が変わってくる桐谷。
「お前、自分の彼女が泣いてるのに、心配じゃねぇのかよ。」
「だって、俺が泣かしたんじゃないもん。」
その言葉に、俺はぶちギレた。
「ふざけんな!!!!好きな女が泣いてんのに、テメェはそんな平気でいられんのかよ!?!?お前が泣かした、泣かしてない以前に、アイツは何かの理由で傷ついてんだよっ!!!!」
俺の言葉に、桐谷は目を丸くする。
そして、次の瞬間「クスッ…。」と笑った。