本当の君を好きになる


***





「──何で、俺が呼び出されないといけないの?」



空き教室にやって来た俺たち。

桐谷は、いかにもダルそうにため息をつくと、そこにある椅子にドサッと座る。

長い足をクロスさせ、偉そうに腕組みをする。

コイツもやっぱり、本性隠してるな……?




「で?学園の王子さまが、こんな俺に何の用?」


「……可鈴が泣いた。」


「……は?」


「お前が、朝どこかへ行った瞬間にな。」


「……だから何?俺のせいだって言いたいの?」




挑戦的な態度は変わらない。


俺は、なるべくイライラしないように心を落ち着かせて話を続ける。




「ちょっとは心配にならないのかよ?」


「だって、それは俺には関係ないじゃん。むしろ、お前が泣かせたんじゃないの?責任擦り付けんなよ。」




少しずつではあるが、口調が変わってくる桐谷。




「お前、自分の彼女が泣いてるのに、心配じゃねぇのかよ。」




「だって、俺が泣かしたんじゃないもん。」




その言葉に、俺はぶちギレた。




「ふざけんな!!!!好きな女が泣いてんのに、テメェはそんな平気でいられんのかよ!?!?お前が泣かした、泣かしてない以前に、アイツは何かの理由で傷ついてんだよっ!!!!」




俺の言葉に、桐谷は目を丸くする。



そして、次の瞬間「クスッ…。」と笑った。



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