本当の君を好きになる


***




キーンコーンカーンコーン──。




授業開始の合図の、チャイムが鳴り響く。

ふと、直登の席の方に目線を移したが、そこに彼の姿は無かった。

直登……一体どこに行ったんだろう……?


私がそう考えていると、女子生徒のひそひそ話が聞こえてきた。


「幸坂くん、朝はいた筈なのにどこ行ったんだろう?」

「そういえば、今朝隣のクラスに行ってなかった?」

「隣?ああ!そういえば、桐谷くんとどっか行ってたね!!」

「あの二人が揃うなんて、夢みたい……!って皆話してたもんね!」

「でも、二人で何してるんだろう?」

「だよねー。」




その話を聞いて、私の不安は更に大きくなった。

今朝のあの二人の状態で、どこかへ行った……?

直登も、桐谷くんも一体何を考えているんだろう?




と、その時、教室の扉がガラガラと開いた。

皆の視線は、そこに注がれる。

扉を開けたのは、直登だった。

明らかに不機嫌で、いつもの王子スマイルは無い。


皆も、少し戸惑っている様子だ。





「幸坂くんが遅れるなんて珍しいわね?早く席に──」




英語教師がそう言った瞬間、直登は被せ気味で答える。



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