本当の君を好きになる
「──瀬戸さん。」
夕日が当たり、オレンジ色に輝く教室。
そんなことにも気づかず、私は一人机についていた。
「……桐谷くん。」
桐谷くんは、教室の入り口にニッコリと笑みを浮かべ立っていた。
そして、そのままこちらへ近づいてくる。
「ずっと夕日見てたの?」
「……見てたのかな?」
「──それとも、また泣いてたの?」
「……え?」
桐谷くんの言葉に、私は思わず顔をあげる。
彼は、悲しげに笑みを浮かべる。
また、その笑顔だ。
今朝も、その笑顔で私の事見たよね?
その笑顔には、一体どんな感情が、想いが込められているの?
………お願いだから、そんな顔で笑わないで………。
次の瞬間、私は桐谷くんに抱き締められていた。
時間が止まってしまったかのような感覚。
私は、何もできず、ただ呆然とするばかりだった。