本当の君を好きになる
「…………可鈴。」
ドクンッ──!!
突然呼ばれた名前に、嫌でも心臓が飛び跳ねる。
体は正直って、こういうことを言うのかな。
「……何っ……?」
「……これは、お前を傷つけるだけかもしれないけど……話していいか?」
「……え?」
抱き寄せられたまま、そんな事を言われ、私は訳が分からなくなる。
「桐谷は、やっぱり俺の中では、すすめられない。」
ここで出てきた桐谷くん。本当は、一番聞きたかった事だ。
でも、なかなか口に出せなかった。
二人の間で、何かが起こったことは確実なのに……怖くて何も聞けなかった。
でも、直登の方から勇気を出して口にしてくれている。
本当に、何でも分かってくれるんだな……。
「……どう……して……?」
「……アイツは、俺みたいに本当の自分を隠してる。表の顔は確かに優等生かもしれないけど、裏の顔はとんでもない。……その証拠に、アイツは……。」
その時、直登の腕に力が入るのが分かった。