本当の君を好きになる
新たな始まり
「──ふーん。幸坂に聞いたんだねー。まぁ、仕方ないよね。」
私の目の前には、吹っ切れて普段の自分を出す桐谷くんの姿がある。
ダルそうに私の方を見て、深くため息をつく。
私は、桐谷くんに別れようと切り出したのだ。
その瞬間、桐谷くんの態度が一変した。
そして、今の状況に至る訳だ。
「でも、桐谷くんのお陰で大切な事に気づけたから、感謝はしてるよ!」
私のキラキラした表情を見てか、彼は露骨にイライラした態度を見せる。
「は?幸せアピールするの止めてくんない?ヘドが出そうなんだけど。」
「ええっ!?酷くないですか!?だ、誰も幸せだなんて──」
「顔に書いてあるんだよ!私、幸せです!だってあの人の事が好きってやっと気づいたんだもん!ってね!!」
「ちょっ、な、何でその事をっ……!?」
「え、聞こえてなかったぁ?だーかーらー、顔に書いてあるっつってんでしょ?何度も言わせないでくれる?」
そう言って、私にデコピンをかます桐谷くん。
私は、顔を真っ赤にして額を押さえる。