本当の君を好きになる




「──うわー、不審者がいるんですけどー。」


後ろから聞こえたその声にビクッとする。

そして、振り返ると──



「あ、桐谷く──」


「──湊くんね。」


間髪入れず、否定をされ私は苦笑いをしながら言い直す。




「あ。み、湊くん……。」


「何してるの?通報して良い?」


「えっ!?えええっ!?や、やめてよ!!あ、ちょうど良かった!湊くんに、少し相談があるの!!」


「えー。面倒くさそうな予感しか──」



そこまで話した時、私のクラスから女子生徒が出てきた。

その様子を見た湊くんも、直登と同様スイッチが切り替わる。




「──瀬戸さん。俺で良ければ話聞くよ?」


「え、あ、ど、どうも……。」


女子生徒は、湊くんをチラッと見て嬉しそうに頬を染める。





「き、桐谷くんっ!ま、また明日っ!」



その女子生徒が、勇気を出して湊くんに話しかける。


「うん、また明日。」


そう言って、クールな笑みを浮かべ手を振る。


キャー!!!!と大きな悲鳴が上がる。


本当に、直登も湊くんも凄いな……。呆れる。




「……で?何を悩んでんの?お嬢さんは。」




「え?あ、えっとー……。」




< 56 / 308 >

この作品をシェア

pagetop