本当の君を好きになる
「──うわー、不審者がいるんですけどー。」
後ろから聞こえたその声にビクッとする。
そして、振り返ると──
「あ、桐谷く──」
「──湊くんね。」
間髪入れず、否定をされ私は苦笑いをしながら言い直す。
「あ。み、湊くん……。」
「何してるの?通報して良い?」
「えっ!?えええっ!?や、やめてよ!!あ、ちょうど良かった!湊くんに、少し相談があるの!!」
「えー。面倒くさそうな予感しか──」
そこまで話した時、私のクラスから女子生徒が出てきた。
その様子を見た湊くんも、直登と同様スイッチが切り替わる。
「──瀬戸さん。俺で良ければ話聞くよ?」
「え、あ、ど、どうも……。」
女子生徒は、湊くんをチラッと見て嬉しそうに頬を染める。
「き、桐谷くんっ!ま、また明日っ!」
その女子生徒が、勇気を出して湊くんに話しかける。
「うん、また明日。」
そう言って、クールな笑みを浮かべ手を振る。
キャー!!!!と大きな悲鳴が上がる。
本当に、直登も湊くんも凄いな……。呆れる。
「……で?何を悩んでんの?お嬢さんは。」
「え?あ、えっとー……。」