本当の君を好きになる
そうだよね。
始まる前から考えているだけじゃ、何も変わらない。
まずは、やってみてから考えないと。
そんな事を考えながら、廊下を歩く。
グラウンドでは、野球部やサッカー部が活動をしている。そんな皆が、夕日で照らされて、とても綺麗だ。
部活動の様子を見ながら、自分の教室に辿り着いた。
ガラララ──と扉を開けると、そこには席に座って本を読んでいる直登の姿があった。
ゆっくりと、こちらを向く直登。
目が合った瞬間に飛び跳ねる心臓。
夕日に照らされた直登が、とても綺麗で……声も出せなくて……私の心臓の音だけが、そこに響き渡った。
短いけど、長い時間。息をするのにも、少し苦しくなっていた。その時、直登が声を出す。
「──随分と長いトイレでしたねぇ。」
「…………え。」
場違いの一言に、私は開いた口が塞がらなかった。
長いトイレ?
「あ。」
そこで、思い出す。そういえば、トイレに行くと言って教室を飛び出したんだった!!
直登は、本を閉じると鞄にしまう。
そして、鞄を背負った。