本当の君を好きになる
「さっさと荷物準備して帰るぞ。」
「ご、ごめん!トイレから出たら友達に呼び止められたの!」
「あっそ。」
私は、急いで荷物を鞄に入れると、教室の出入り口で待っている直登の元へと向かう。
「……ごめん。怒ってる……?」
「……うん。」
「遅くなってごめんね。」
「違う、そうじゃない。」
直登は、教室の扉に手をかけて振り向くことなく答える。
何を怒ってるんだろう……。
分からない。
分からないから困る。
どうすれば良いの?
「──かと思った。」
「……へ?」
「避けられてるかと思った。」
そう言って、私の方をチラッと見る直登。
その恥ずかしそうな様子に、私もドキッとする。
「いつもと様子が違うから焦った。」
「……ご、ごめんっ……。」
「可鈴。俺の勘違いだったら申し訳ないけどさ……」
「……え?」
「……お前……もしかして…………。」