本当の君を好きになる
「よし!帰るか!」
「え?あ、うん!」
私も、慌てて靴を履き直登についていく。
そして、玄関を出たところで、直登はニコッとして私の方を見る。
「さあ、帰ろう。」
「う、うん!」
そうは言うものの、二人とも動く気配は無い。
「……え、待って?直登傘持ってるんじゃないの?」
素朴な疑問を直登にぶつけると、キッと睨まれた。
「は?俺が持ってる訳ねぇだろ。そういうお前こそ持ってねぇのかよ?」
「えええっ!?持ってないよ!!さっさと出ていくから、てっきり直登が傘持ってるんだと思った……!!」
「はあ!?ふざけんなよ!?こういう時は、お前が傘持ってて『……アイアイ傘で良いなら……入る?』の展開の筈だろ!?!?」
「何それ!?少女漫画じゃあるまいし、人生はそう簡単には行かないんだから!!」
そこまで、言い合ったところで、直登は「ブッ!!」と噴き出す。
「あーあ、おかしいわ!確かに、変な期待した俺が馬鹿だった!」
「……私だって、少しは期待してたし……。」