本当の君を好きになる
そこまで言ったところで、直登は大雨が降る校庭に飛び出した。私は、驚きで目を見開く。
「──やっば!!冷たっ!!」
「ちょっ、直登!?風邪引く──」
「ほら!走って帰るぞ!!甘い展開なんか期待してんじゃねぇぞ!!」
「そっ、そんなんじゃないもんっ!!!!」
私もそう言うと、雨の中に飛び込んだ。
あっという間に体がびしょ濡れになって気持ち悪い。
でも……それ以上にすごく楽しい。
「ちょっ、直登!!走るの早すぎっ!!」
「うるせぇよ!早くついてこい!!濡れるぞ!!」
「も、もう濡れてるし!!!!」
雨の勢いがすごいので、二人とも必然的に大声での会話になる。
すると、直登がようやく足を止めてくれた。
「お前、靴が濡れるの気にしてるから遅くなるんだよ!ほら、ついてこい!」
そう言うと直登は、私の手を握る。
まさかの行動に、私の心臓の音は急激に早くなる。
雨に濡れて体は冷たい筈なのに、赤く染まった頬と、繋がれた左手だけが、とても温かかった──。