本当の君を好きになる




そう言って、直登に別れを告げると、学校へと向かう。

……それにしても、学校ってこんなに遠かったっけ?

いつもは、直登が隣にいて、他愛もない話をしながら通っているから、こんなにも静かでつまらない通学路は、本当に記憶にない。

それだけ、直登の存在は私にとって当たり前になっているんだ。

少し、しんみりして歩いていると、後ろから声をかけられた。





「──えー!瀬戸さん一人で登校ですか?なんとお寂しい事でしょう!」






その喋り方、言い回し、声のトーン。

振り向かなくても、あの人が後ろに立っている事が丸分かりだ。



「……そういう湊くんだって一人じゃん。」


「俺はいつも一人だから良いんだよ。瀬戸さんが、今日は一人で登校してるから……ブフッ!……喧嘩でもしたの?心配だよ。」


「……今、笑ったよね!?」


「それともフラれちゃったのかな?大丈夫だよ。俺なら、そんな君を丸ごと受けとめられ──」



「──風邪引いたの!!風邪っ!!」



湊くんの妄想が、暴走してしまいそうだったので早めに否定をする。


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