本当の君を好きになる
「…………え?」
私が、そう言って直登の目を見た瞬間、彼は目をそらした。
そして、パッと手を離して、自分の顔を隠す。
「いっ……い、いたら何なんだよ……?」
直登は、顔を隠したままそう答える。
やっぱり、好きな人……いるんだ……。
直登にも、好きな人が……。
「そっ、そういうお前は……どうなんだよっ……?」
直登に、そう尋ねられ私はハッとする。
へっ……?
私っ……!?
先程まで、少し悲しい気持ちになっていたのに、今は顔を真っ赤にして焦っている。
「なっ、何、顔真っ赤にしてんだよ!?お、お前だっているんじゃねぇか!!」
「ちっ、ちがっ……!!これは、直登の風邪がうつっただけで……!!」
「そんな短時間でうつるわけねぇだろ!!誤魔化しても無駄だからな!?」
「う、うう……うるさいってば!!」
私は、その場に立ち上がる。
「私、直登の恋なんて応援してあげないんだから!!」
「別にお前に応援されなくても良いし!!だって、俺は──」