本当の君を好きになる




「覚えていなくても、アイツからその言葉が出たって事は、少なくともアイツにそういう気持ちがあるんじゃないの?」



「……え?」



「良いじゃん。向こうが言い出さないのなら、こっちから確かめれば。」



「……こっちから。」



「告白をしたのは向こうだ。アイツだって、それなりに勇気を振り絞ったんじゃない?分かんないけど。でも告白したら、した側は黙って待つしか無いんだよ。返事決めてくれた?なんてそんな事簡単には言えない。もどかしいって思いながらも、待ってんじゃないの?アイツ。」



「……そう……だよね……。」



「今度は、瀬戸さんが頑張る番だよ。」



湊くんの言葉は、いつも私の心を突き動かす。


私は、この人に救われてばかりかもしれないな。




「さあ、そうと決まったら練習練習!俺を幸坂だと思って?あ、でも雰囲気出すために、俺の名前は呼んでね?はい、よーいスタート!」




私たちは、それから少しの間練習を重ねた。




< 78 / 308 >

この作品をシェア

pagetop