本当の君を好きになる
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「直登さま。」
「は?」
「直登さま、あの──」
「──やめろ。気持ち悪い。」
冷たい言葉と視線が、グサリと突き刺さる。
授業の時の優しさは、一体どこに消えてしまったの……!?
私は、涙をこらえ空を見上げる。
「いやー、直登さまは本当に勉強もスポーツも出来て素晴らしいですよね!!その才能私にも──」
「──機嫌とりのつもりか?余計な事すんな。」
話しては撃沈、話しては撃沈の繰り返し。
私は、遠くを見つめます。
すると、隣を歩いている直登さまは、急に足を止めます。
別に、信号が赤に変わった訳でもなく、歩道の真ん中で止まる直登さま。
「……言いたいことあるなら、ちゃんと言え。言わなきゃ分かんねぇだろ……。」
そう言った直登の顔は、心なしか赤く染まっていた。