本当の君を好きになる

***





「直登さま。」


「は?」


「直登さま、あの──」


「──やめろ。気持ち悪い。」




冷たい言葉と視線が、グサリと突き刺さる。

授業の時の優しさは、一体どこに消えてしまったの……!?

私は、涙をこらえ空を見上げる。





「いやー、直登さまは本当に勉強もスポーツも出来て素晴らしいですよね!!その才能私にも──」



「──機嫌とりのつもりか?余計な事すんな。」


話しては撃沈、話しては撃沈の繰り返し。

私は、遠くを見つめます。

すると、隣を歩いている直登さまは、急に足を止めます。

別に、信号が赤に変わった訳でもなく、歩道の真ん中で止まる直登さま。






「……言いたいことあるなら、ちゃんと言え。言わなきゃ分かんねぇだろ……。」




そう言った直登の顔は、心なしか赤く染まっていた。
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