本当の君を好きになる
その一言に、私は固まり足を止める。
すると、直登も足を止めて振り返った。
「あの告白は全部嘘。学校で、王子を演じる時、ああいうシチュエーションもありだなーって思って試したんだよ。可鈴が、本気にしてくれるぐらいだから、それなりに効果あるみたいだな。今度使ってみるわ。」
私は、声を出すことが出来なかった。
あまりにショックで、悲しくて……私の手がプルプルと震える。
今までの直登の嘘なら、どんな事でも許せていた。
それは、私に今のような恋愛感情が無かったからかもしれない。
でも、今は私の想いを踏みにじられたような気がして、腹が立って、辛くて仕方がなかった。
私は、ギュッと下唇を噛み締めると、前を向く。
「あ、あはは!そうだよねー!直登が私の事好きなんてありえないもんね!!いやー、騙されちゃったー!!」
必死で笑顔を作り、わざとらしく頭を掻く。
苦しい。
辛い。
恥ずかしい。
逃げたい。
色んな気持ちが交錯して、胸がはち切れそうになる。
「あ、そういえば私、お母さんに買い物頼まれてるんだった!!直登、先に帰ってて良いよ!」
「おー、分かった!じゃあまた明日な!」
「うん!また明日ー!」