本当の君を好きになる
「──何で、泣いてんの。」
その声に、私は驚いて顔をあげた。
「……湊くん……?」
そこには、息をきらした湊くんが立っていた。
どこから現れたんだろう?すごく不思議だ。
「意味分かんないんだけど。何でこんな所で泣いてるわけ?すげぇ、腹立つ。」
「……ごめん……。練習したのに……。」
私の言葉に、湊くんは腕をグイッと引っ張った。
「瀬戸さんからの謝罪なんていらない。」
そう言うと、公園を出る。
そして、目の前にある家の前で止まった。
「ここ、俺の家。あんな所で泣かれて放っておけないから出てきた。とりあえず入りなよ。」
そう言われ、私は素直に従った。
今は、誰かと一緒にいたかったから、ちょうど良かった。