本当の君を好きになる
***
「──美味しい。」
目の前に出された、紅茶とロールケーキ。
家の中も、とても広くて綺麗で……。
私がここにいるのは、場違いなんじゃないかと思うほどだ。
今は、湊くんの部屋にいるみたいだけど、余計な物は置かれていなくて、とても綺麗な部屋だ。
「少しは落ち着いた?」
「あ、うん。ありがとう。」
「こっち来て。」
「え?」
そう言われ、湊くんに近づくと、窓際に案内された。
すると、そこには先程私が泣いていた公園があった。
「あ、こんなに見えてたの?」
「そうだよ。だから流石にそれを放っておいたら男として最低だなと思って声かけた。別に、ストーカーでも不審者でもないから。たまたま目についただけ。」
「今度から泣く時は、あの公園にしようかな。」
「いや、面倒だから勘弁して。」
そう言って二人で笑い合う。
そして、私たちは再び小さな机を挟んで座った。
湊くんは、頭をポリポリ掻きながら話すタイミングをうかがっている様子だ。
「……あのさ──」