本当の君を好きになる
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次の日、私と直登は自然と一緒に登校しなかった。
いつもなら、直登が私を迎えにやって来るのだが、今日はそれが無かった。
私も、彼に会う気にもなれず、そのまま学校へと向かった。
学校について教室に入った時、直登の姿は無かった。
何だ、まだ来てないのか。
そう思って、席に着いた瞬間、教室の扉が開き、直登が入ってきた。
一瞬バチっと目が合ったが、直登の方からすぐにそらされた。
その様子に、私は肩を落とす。
でも、避けているのは私もだ。
直登の事ばかり言えない。
そんな事を考えていると、教室の扉が少し乱暴に開いた。
その音で、みんなの視線はそちらに集まる。
すると……
「──すみませーん、幸坂直登くんっていますかぁ?」
挑発的な態度。
しゃべり方。
その瞳は酷く冷たい。
すべてが彼にふさわしいものでは無かった。
私は一瞬目を疑ったが、彼に変わりはなかった。