本当の君を好きになる
桐谷は、俺の言葉を聞いて固まった。
何でお前がその事を知ってるんだ?っていう顔か?
「……昨日聞いたんだよ。あの空き教室で二人で話してるところを。そこで、可鈴がお前に告白してるのも聞いた。……可鈴が好きなら仕方ないだろ。」
「……何だよ……そういうことかよ……。」
そう言うと、桐谷は俺から手を離した。
ようやく解放され、俺もひと安心する。
しかし、その安心も一瞬だった。
「──だったらお前、なおさら最低だな。」
その言葉は、俺の心にグサリと突き刺さる。
は?俺が最低?どういうことだ……?
桐谷は、冷たい目で俺の事を睨み付ける。
俺も、眉をしかめて桐谷の方を見る。