本当の君を好きになる
「手短に言えば、お前が聞いた言葉は全部お前に向けての物だ。お前からの告白の返事を、ずっと練習してたんだ……!!確かに、名前は俺の事を呼ばせてたよ。その方が雰囲気出るからって。全部、お前の勘違いのせいじゃねぇか……!!」
「……え?」
「最後までちゃんと聞いてたのか?一部分で全てを知ったような言い方しやがって……。それで、瀬戸さんの為に嘘をついた?まじで笑わせんな。結局、お前は逃げただけだろ?フラれるのが怖くて……瀬戸さんと気まずくなるのが怖くて……。瀬戸さんの為の嘘でも何でもない。お前自身を守るための嘘だったんだよ。」
色々な情報が入りすぎて、俺の頭はパンクしそうになる。
どういうことだ?
つまり、可鈴は俺の事が……。
それなのに、可鈴の返事を聞く前にそれをシャットアウトして、俺は逃げたんだ……。
「……二人の為に潔く身を引いたつもりだったけど、やっぱり無理だ。」
俺が黙っていると、桐谷は続けて話し始める。
「──もう遠慮なんてしない。お前がそこまでフラフラしてるんだったら……彼女の事全力で奪うから。」
桐谷は、それだけ言うとその場を立ち去った。
体育館裏に、一人取り残された俺は、少しの間動くことが出来なかった。