本当の君を好きになる
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空き教室に行ってみて私は驚いた。
何か話をする時は、いつもここなのに……。
他の空き教室も探してみたけど、どこにも見当たらなかった。
一体どこに行ってしまったんだろう……?
二人のあの様子。
危険な香りしかしなかった。
湊くんが直登を呼び出したのは、絶対に私が泣いたからだ。
きっと、私の代わりに気持ちを代弁しようとしてくれているんだろうけど……。
何か嫌な予感しかしない。
と、その時、私は後ろから何かに包まれた。
フワッと香る優しい香り。
抱き締める強さ。
それが、湊くんだということにすぐに気がついた。
「──瀬戸さん、ごめん。」
耳元で響くその声に、私の体はビクッと震える。
「……俺、嘘ついてた。」
「……え?」
「──俺、瀬戸さんの事が好きだ。」