本当の君を好きになる

***



空き教室に行ってみて私は驚いた。

何か話をする時は、いつもここなのに……。

他の空き教室も探してみたけど、どこにも見当たらなかった。

一体どこに行ってしまったんだろう……?




二人のあの様子。

危険な香りしかしなかった。

湊くんが直登を呼び出したのは、絶対に私が泣いたからだ。

きっと、私の代わりに気持ちを代弁しようとしてくれているんだろうけど……。

何か嫌な予感しかしない。




と、その時、私は後ろから何かに包まれた。

フワッと香る優しい香り。

抱き締める強さ。


それが、湊くんだということにすぐに気がついた。





「──瀬戸さん、ごめん。」



耳元で響くその声に、私の体はビクッと震える。



「……俺、嘘ついてた。」



「……え?」







「──俺、瀬戸さんの事が好きだ。」



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